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東海近辺のライフログ。
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アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~』アメリカ

スラッシュメタルの歴史を描いたDVDを観たら、どうしてもアンヴィルの映画が観たくなったのでアマゾンでついポチってしまった。

内容はミッキー・ローク主演の『レスラー』のロック版という感じだけど、ドキュメンタリー仕様になっていて、出演者自身が本人で実話ってのが違う。だけどドキュメンタリーなのに、しっかりと起承転結があってちゃんとドラマになっているのが面白い。舞台も始まりと終わりが日本だから、とっつきやすい。

自分もメタルは好きなのにアンヴィルはほとんど聴いたことがなかったし、なぜか興味もわかないまま、今に至る。その理由について深く考えたことはなかったが、映画を観ていると、その理由が痛いほど分かった。

音楽業界に限らないことだろうけど、ただの“××バカ”として好きで活動を続けていて売れるのは、運のいいほんの一握りでしかない。ある意味、この映画はずっとウダツの上がらず、周囲に迷惑をかけ続ける永遠の放蕩息子を描いた内容なので、個人的にも身につまされる作品になっている。観ていると「信じて続けることの意味」をぼんやりと考えさせられてしまう。

状況的に残酷なのは、アンヴィルにはそこそこ音楽の才能があり、音楽史にも名前を残したバンドだということ。けれども、どう見たって彼らは売れないバンドのスパイラルに陥ってるし、音は時代遅れで、いまの曲には世代の壁を超える影響力はなさそう。家族に迷惑をかけながら今後もダラダラ続ける必要があるのだろうか? やっぱりその問いは頭をぐるぐる回り続ける。

無邪気なティーンズの純粋さを失わずに活動を続けるリップスの人柄は魅力的だし、応援したくなる。ロックバカすぎるし、猪突猛進すぎるし、無計画すぎるし、状況判断ができなさすぎるし、何より金がなさすぎる。きっと横にいたら、ああだこうだと口を挟みたくなるだろう。時にはつい「家族のことを考えて、もう音楽はやめろ」と言いたくもなるだろう。

でも彼らは続ける。その姿勢があったからこそ映画になったし、続けていたからこそ、こうして注目される機会も芽生えたともいえる。けれども、これってやっぱり成功なのか? という思いは消えない。どうせ数年したら、また貧乏でしがない人生に逆戻りするんじゃないの?

“幸福”の定義を何にするかで、アンヴィルの生き方への評価も変わってくるだろう。ただ、映画化されたことによって、アンヴィルは売れないロッカー生活を永遠に続けられる免罪符を手に入れてしまった。続けことが良いのか、悪いのかは結局本人が決める問題なのだ。

自分も現実社会において、周囲と自分を納得させる範囲で“幸福”の形と“夢”を追いながら生活している。だからこそ“幸福”や“成功”の定義について信念を育てなければと思ったし、家族からの理解を得られる夢の追い方をしなくてはならないなと感じさせられた。

最後であまりにも懐古的で甘ったるい日本人感覚が入り込んできたのが、映画が表現しようとする残酷さをスポイルしてしまい、映画の方向性自体をねじ曲げられてしまった感が残った。ただ、音楽シーンにおいて“ビッグ・イン・ジャパン”という言葉があるように、続けていれば日本人のように忠実に彼らの音楽を忘れずに支持してくれる層があることは事実でもあるし、予期せずしてハッピーエンドに切り替わったのは、ドキュメンタリーの偶発的な魅力とも言えるのかな。

ともかく、これで自分のロック魂は完全に目を覚ましたので、次は現在上映中の『極悪レミー』を観に行くことにする。
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