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少し遅れたが、スパイクTVで放送された6.20『TUFシーズン9フィナーレ』を観た。
■ライト級5分3R
○ ジョー・スティーブンソン[3R終了 判定3-0]ネイト・ディアス ×
ネイトはゴンタ顔になると兄貴同様、いい悪役面になる。対するスティーブンソンの顔はやっぱり北岡選手に似ている(笑)。試合開始早々、ネイトはギロチンを狙うが、スティーブンソンはこれを制して門脇ポジションに移行し、パウンドを放つ。さらにネイトをひっくり返してタイトなギロチンを極める。ネイトは金網を蹴って脱出。スティーブンソンがポジションをキープする中、1Rが終了。
2R、兄貴のニックとそっくりな構えからネイトがパンチを繰り出すが、スティーブンソンは組みついてテイクダウン。ネイトは有利なポジションを作れず、下から三角絞めなどを狙うが、極められず2R終了。ここまでスティーブンソンが圧倒。3Rが始まってスティーブンソンが手を合わせようとするが、ネイトはこれを無視して殴りかかる。兄弟して性格そっくり(笑)。スティーブンソンのタックルに合わせてネイトは払い腰。初めて上のポジションを取ってパウンドを落とし、相手が中腰になったところでギロチンを狙うが極められず。最後はスティーブンソンがタックルを繰り返して試合終了。判定で三者ともに29-28。スティーブンソンがうまく試合をコントロールした。
■ライト級5分3R
○ ロス・ピアソン[3R終了 判定3-0]アンドレ・ウィナー ×
TUFシーズン9英国ファイター同士の対戦。TUFシリーズで放送されていたからか、通常のUFCより試合前の煽り映像が豊富。ダッキングして頭から突っ込んでいくのがピアソン。ウィナーは組みついて金網に相手を押しつける。1Rも2Rも金網際でのクリンチ合戦が大半だが、ブーイングはなく、会場は静か。リアリティショー効果なのか、普段のUFCと違って観客は非常に温かい。2Rはアグレッシブな打撃とタックルのトライ数の多かったピアソン有利。3R、ピアソンがクリンチ状態のアッパー、スタンドでパンチを数初命中させ3-0の判定で勝利。TUFの優勝者にしてはスケールが小さ過ぎるが、観客はピアソンに声援を送っていた。
■ウェルター級5分3R
○ クリス・ライトル[3R終了 判定3-0]ケビン・バーンズ ×
序盤は打撃の展開。ライトルの飛び込んでのフックが効果的。バーンズもカウンターのフックを返していく。けっこう激しい打撃戦で、UFC本戦ならこれぐらいでギャーギャー騒ぎそうだが会場は静か。1R残り1分でバーンズの右アッパーでライトルがフラッシュダウン。バーンズはヒザと左右のフックで攻め込むが1R終了。2R以降はライトルが逆襲。スタンドの攻防で徐々にライトルがプレッシャーをかけていくと、バーンズは背中を見せて逃げる。3R早々、バーンズの蹴り足をつかんでのライトルの右ストレートでバーンズはカット。ライトルはガードの上からでも強いパンチを叩き込んでいく。最後にバーンズも根性を見せ、ラッシュをかけるが、打撃のヒット数ではライトルが上。ライトルが判定3-0で勝利。ベテランらしく1Rに喫したダウンをうまくリカバーした。
■ウェルター級5分3R
○ ジェームス・ウィルクス[1R チョーク]ダマルクス・ジョンソン ×
ようやく今回のテーマである“英国 vs 米国”が実現。観客はUSAコール。序盤の打撃戦はウィルクスが制し、ケージ際に追いつめてジョンソンをテイクダウン。ウィルクスは中腰になっていきなりヒールホールドに移行! さらにウィルクスはヴォルク・ハンもビックリの裏からのヒザ固め(連続写真を参照)を狙う。おかげでジョンソンに上を取られてしまったが、ウィルクスはオモプラッタ→三角絞め→オモプラッタのコンボで相手を圧倒。スタンドに戻るが、ウィルクスはすぐテイクダウンに成功。亀のジョンソンのバックからチョークを狙う。相手のガードが固いとみると、ヒクソンが中井戦で見せた腕一本を足でフックしてのチョークに切り替え一本勝ち。残り時間の少なさまで計算に入れたかのようなウィルクス、かなりデキると見た。ヒゲ面柔術マスターのダスティン・ヘイズレットのようにUFC本戦でもバンバン極めて勝ってほしい。
■ライト級5分3R
○ ディエゴ・サンチェス[3R終了 判定2-1]クレイ・グイダ×
メインには、“名勝負請負野蛮人”グイダと、TUFシーズン1の優勝者サンチェスが登場。両者ともにアグレッシブファイターなだけに、いい試合にならないハズがない“鉄板カード”。グイダは入場から奇声を発し、異常なテンション。対するサンチェスも気合が入っており、オクタゴンに入るなりグイダを挑発。グイダも「ここはオレの家だ!」とやり返す。風貌からして大ベビーのサンチェスと大ヒールのグイダの構図もいい。サンチェスはベビーフェイスらしく、コール時には芝居がかった祈りのポーズ。試合は視殺戦を経て、のっけからノンストップの大打撃戦。会場は大盛り上がり。
サンチェスはアッパカットの連打に跳びヒザ蹴りと、アドレナリンを爆発させた攻撃でグイダを圧倒。対するグイダはテイクダウンで対抗。上からヒジを落とすが、サンチェスは下からアームロックを狙いつつ、蹴りあげてスタンドに戻す。ここでサンチェスの左ハイがクリーンヒット! タフなグイダはすぐに立ち上がるが、サンチェスはまたも跳びヒザ、そしてアッパーの連打! 両者はめちゃくちゃアグレッシブ。今度はサンチェスがグイダをテイクダウン。ハーフからヒジを落とし、グイダが立ち上がったところで1R終了。非常に内容の濃いラウンド。
2R、グイダはサンチェスのローキックに合わせたタックルでテクダウン。グイダはブルータルなヒジとパウンドを落としていくが、サンチェスも下からアームロック、縦エルボーで反撃。ケージ際に詰められると、サンチェスはラバーガードから金網を利用しての腕十字など、下からも攻め続ける。グイダも上からパウンドを落としていくが、かなり流血している。このラウンドはグイダか。
3R、両者はスタンドで距離を測りつつパンチを繰り出す。隙をついてタックルに行こうとするグイダに対し、サンチェスは切れ味鋭い左ハイキックを放っていくスリリングな展開。このラウンドはグイダがサンチェスにカウンターを何発かヒットさせるが、サンチェスもタックルで飛び込んできたグイダをヒラリとかわし、流れるようにサイドからのチョークへと移行。グイダ、苦しそうだがなんとか脱出。グイダが上のポジションを取るが、サンチェスはグイダの流血を浴びながら下からアームロック、腕十字を仕掛けていく。グイダがパウンドを落としたところで試合終了。接戦だっが、下になっても動き続けたサンチェスが2-1で勝利。
サブミッション、ストライキング、どれをとってもスマートでテクニカルだったサンチェスと、打撃、タックル、パウンド、すべてにおいて荒々しいグイダの対象的なスタイルがスイングした素晴らしい試合だった。
ベストバウトは断トツでメイン。セミのウィルクスも非常に面白い選手で今後が非常に楽しみだ。
昨日に続き、韓国のニュースサイト「MFIGHT」からのインタビュー記事を紹介。6.7ストライクフォースでアンドレイ・アルロフスキーをKOしたブレット・ロジャースはキンボを挑発して暴動騒ぎを起こしたり、前々回のストライクフォースのアボンゴ・ハンフリー戦では、相手のドレッドヘアーを何度も掴む反則で減点が与えられるなど、精神的にハングリーな選手。プロ戦績は10戦10勝10KO。これまでにもジェームス・トンプソン、アルロフスキーとビッグネーム食いを果たしているだけに、いまヘビー級でいちばん勢いのある選手と言えるだろう。以下は、英語→韓国語→日本語に訳したもの。
※※※※
――秒殺KO勝利に終わったアルロフスキーとの試合をもう一度振り返ってください。
ロジャース 試合は計画通りに進めることができた。この試合に向けて我々チームはアルロフスキーを徹底的に研究し、彼は接近戦に弱点があるということを発見した。試合では相手よりも先に攻撃してバランスを崩して、顔面に正確なパンチを叩き込むことができた。オレのパンチをまともに食らったら、1ラウンド目だろうが最後ラウンドだろうが、必ず相手は倒れる。
――あなたはいつでも落ち着いているが、それはトレーニングで培われたものか、持って生まれたものか?
ロジャース オレはいつでもベストを尽くしてトレーニングすしているし、優れたトレーナーにも恵まれている。自分が何かを誤解しなければそれでいいんだ。試合前はいつも緊張するものだが、オレはプロのファイターだ。緊張した状態から抜け出し、ひたすら試合と勝利にのみ集中すれば、自分の中の野獣が目覚めてくるのさ。
――現在、あなたはヘビー級でどの位置にいると思うか?
ロジャース トップ5の中には入るんじゃないか?(笑)。さらに上に登るため、相手が誰であれ闘う準備はできている。ヒョードル、レスナー、アリスター、チャンスが与えられれば彼らと闘う。
――あなたはまだ無敗だが、それはプレッシャーになるか?
ロジャース ある程度の負担を感じているのは事実だ。しかし一度の負けがオレのビジネスをすべて台無しにするとは考えていない。いつかは負けることもある。その瞬間が早く訪れないように努力するだけだ。自分の真の目標は無敗のファイターというより、チャンピオンになることなんだ。
――アリスターと8月にストライクフォースのヘビー級タイトルマッチを行なう可能性があると聞いた。
ロジャース 本来は今回の大会でアリスターと闘う予定だったが、最終的にアルロフスキーが相手となった。6月7日の大会でチャンピオンになれたのに、さらに待たなければならなくなった。ただ、アリスターがオレを待たせたことは、結果的に火に油を注ぐことになった。ヤツはもっと注意しなければならなくなるだろう。アリスターも偉大なファイターの一人だ。だが、オレには自信がある。次の試合でそれを証明する。
――アリスターとの試合はどのような展開になると予想するか?
ロジャース 1ラウンド、KOで終わるだろう(笑)。だが5分5ラウンドの最後まで闘う準備もできている。どのような結果になるかわからないが、アリスターは完璧なゲームプランを準備してこなければならないだろうな。
――あなたはまだ試合でグラウンドの展開をあまり見せていない。そのせいか、あなたのことを「まだ強さが証明されていないファイター」と評価する専門家も多い。それについてはどう思うか?
ロジャース とくに気にしていない。オレのトレーニングパートナーの中には、グレコローマンレスリング全米選手権を5度制覇した世界トップクラスのレスラーがいるし、ほかにもチームには有名なレスラーが集まっている。トレーナーのマイク・ライリーはグラップリング界で非常に有名な選手だ。柔道と柔術では他の追従を許さない。また現在はBTTのセルジオ・クニャも一緒にトレーニングしている。オレをグラウンドに持ち込むのは簡単じゃないぞ。だが、グラウンドの展開になってもまったく問題ない。相手はオレのグラウンドで新たな苦しみを味わうことになるだろう。相手が立ち技でくるなら立ち技で対抗するし、グラウンドに持ち込まれてもグラウンドで闘う準備はできているよ。
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写真提供:エリートXC
韓国の格闘技ニュースサイトとしては、その情報量とクオリティでトップを守り続けている『MFIGHT』が、最近アメリカでの現地スタッフをゲットしたのか、パートタイムなのかわからないが、『WEC41』で圧倒的な強さを見せたマイク・ブラウンの独占インタビューに成功している。独占というからには、他では読めそうもないので、英語→韓国語→日本語の順となるが、翻訳・編集したものを以下に掲載する。
※※※※
ブラウン 嬉しい。5分5ラウンドを最後まで戦ったのは初めてのことだった。自分のキャリアに貴重な勝利がまた一つ増やすことができた。
――試合後のインタビューでは涙を見せていたが。
ブラウン ああ、少し感情が込み上げてきたんだ(笑)。ユライヤとの最初の試合で自分は勝つことができたが、誰も私の勝利を望んでいなかったからね。そういう感情を思い出してああなってしまった。
――勝利はどのようにお祝いしたか?
ブラウン パーティーをたくさんやったよ。大学時代の友人、地元の友人が試合も自分の観にきてくれた。彼ら楽しい時間を過ごしたよ。
――試合ではあなたの驚異的な体力が印象に残った。その体力は持って生まれたものか?
ブラウン 私はいつもスパーリングをたくさんしている。それがとても役に立った。ユライヤは速くて力の強い選手だ。彼とクリンチやレスリングで勝負して力を使ってしまうよりは自分のボクシングテクニックを生かしてスタミナを温存しようとした。具体的な作戦としては、スタンドで強いパンチでダメージを負わせた後、グラウンドでのサブミッションを狙った。だがユライヤはとてもタフで、作戦通りにはいかなかった。
――1R終了後、ユライヤ・フェイバーの右拳が折れたが、これには気づいていたか?
ブラウン 彼に何かよくないことが起きたのかな、とは思った。ある瞬間からかユライヤがヒジ攻撃を何度も出すようになって「何か変だ」と感じた。正確にどちらの手を負傷したのかはわからなかった。自分のセコンドは「ユライヤが左手を痛めた」とアドバイスしてくれたが、実際に負傷していたのは右拳だった。ただ、彼は右手を負傷していても充分威力を持っていた。とくに彼のヒジでの攻撃は非常に厳しいものだった。
――会場はユライヤ・フェイバーの故郷、カリフォルニアで、彼に大歓声を送っていた。そのことは気になったか?
ブラウン いや、それはあまり気にならなかった。とくに試合には影響なかったよ。
――WECで5連続KO&一本勝ちのホゼ・アルドが次の挑戦者候補に挙がっているが。
ブラウン それはまだ何も決まっていないし、WECからオファーも受けていない。ただ、おそらく彼とは闘うことになるだろう。間違いなくボ・アルドはいまフェザー級で最も勢いのある選手だろう。彼は対戦相手をすべて殴り倒しているからね。
――ユライヤ・フェイバーとの三度目の試合についてはどう思うか?
ブラウン ファンが望むなら(やるよ)。そのためにはユライヤが何度か試合に勝たなければならないだろう。
――普段の体重は何キロぐらい?
ブラウン 74キロぐらいだね。
――食事の摂り方などは厳しくするほうか?
ブラウン いや。食べたいものはなんでも食べるよ。牛肉もそうだし、マウンテンデューのような炭酸飲料も好きだよ(笑)。
――あなたは普段ATTでデスクワークをしていると聞いた。WECでチャンピオンになってもそれに変わりはない?
ブラウン もちろん。相変らずジムにかかってくる電話の受け答えをいているよ。
――電話をかけた人があなたと話していると知ったら驚くだろう。
ブラウン そういうことも場合も時々あるよ。いたずら電話もね(笑)。
――たとえばどんな電話?
ブラウン 電話を取ると、いきなり「オレはGSPだ! 次の『UFC100』でチアゴ・アウベスをボコボコにしてやるぜ」とか言ってくるのがあったな(笑)。
――ATTの選手が非常に強い。チームの雰囲気はどうか?
ブラウン 非常に家族的な雰囲気だね。みんないたずら好きだよ。無邪気なイタズラや冗談はしょっちゅうさ。とくにジムのコンピュータを使った後、Eメールのアカウントをログアウトしないでいると、大変なことになるよ。あとでコンピュータを使う人が自分のIDでどんなことをするかわかったもんじゃないよ(笑)。
――いつもはどんな選手と練習しているのか?
ブラウン ATTにはいい選手たちが非常に多い。JZカルバン、イーブス・エドワーズ、ドリュー・フィケット、ハファエル・ディアス、マーカス・アウレリオたちとトレーニングすることが多いね。
――ATTでトレーニングするデニス・カーンとも親しいと聞いたが。
ブラウン もちろんだ。デニスはいま、ビザの問題でアメリカに来ることはできないので、トレーニングはできていないが、彼がまたチームに復帰することを待ち望んでいるよ。
――ユライア・フェイバーはフェザー級のスーパースターだった。彼に勝ってチャンピオンになってから、あなたの人生には多くの変化があったと思うが?
ブラウン 彼に最初の試合で勝ってから変化を感じた。大きく三つあるんだが、経済的な変化、認知度の上昇、そして多くのインタビューの依頼だ。街でもたくさんの人が自分に声をかけてくれるようになったし、経済的にも余裕ができた。
――そこにいたるまでの道のりは簡単なものではなかったと思うが、途中でプロ選手を辞めることは考えなかったのか?
ブラウン いままで二、三度、やめようかと考えたこともある。ケガも多かったし、お金を儲けることができなかったから経済的にも非常に苦しかった。とくに自分の階級であるフェザー級は2~3年前まで注目されることのない階級だった。だが、その後WECができたので、WECを制覇してやろうという自分の目標ができた。その目標がプロファイターの人生を継続するうえで多いに役立った。確かなのはファイターという職業は一生の職業ではないということだ。私もいつかは引退をしなければならない時がくる。その時までに何試合かビッグファイトをしたいね。
※※※※
写真提供:Josh Hedges/ZUFFA
主催者のPRチームからのメールがウザいぐらい届くので、その健気な広報活動に敬意を表し、大会前の煽りVTRを紹介しておく。
6月27日(日本時間28日)に開催される『ULTIMATE CHAOS』は、ボブ・サップ vs ボビー・ラシュリーというスーパーハルク vs 元WWEという“ジャパニーズフリークショー”も真っ青なカードをメインに据えたMMAイベント。メインカードの次に話題となっているのが『アフリクション』の副社長トム・アテンシオのMMAファイトだというから、恐ろしい。しかも、無謀か玉砕か、この大会はPPVで放送されるのだ。いったい何人のモノ好きが購入するのか、『プロレス・エキスポ』の観客動員数ぐらい気になる次第である。
PPV向けのカードとしてセミに組まれたのは、ギルバート・アイブル vs ペドロ・ヒーゾ。続いてディン・トーマス vs ハビエル・バスケスという少々旬を過ぎたベテランたちのカードが並ぶ。HPを見る限り、トム・アテンシオの試合もPPV枠内で放送されそうなのにもビビる。激勝してリング上でダナ・ホワイトをディスってほしいものだが、そもそも試合に勝てるのかが疑問である。
他にめぼしい選手としては、『戦極』参戦の噂があったクリス・ホロデッキー、『アフリクション3』で五味隆典戦がオファーされたブレット・クーパーが登場する。格闘技マニア的には、彼らの試合の方が興味深いかもしれないが、PPV向けとしてはパンチに欠けることは否めない。
煽りVTRでは、ボビー・ラシュリーの今年5月のMFCでの試合が比較的きれいな映像で観られるので、まだ観てない方は観てみるのもいいかも。ただ、あの試合内容で「MMA界のライジングスター」と称するのは、無理があるような。すでに大会まであと残すところ数日となっているが、はたして破綻系ズンドコ興行マニアのハートをくすぐるような内容になるのかどうか……。
8月15日に旗揚げを予定している韓国の新MMAイベントFMC(Fighting Mixed Combative)。旗揚げ戦にはマーク・ハント、エメリヤーエンコ・アレキサンダー、ブラゴイ・イワノフ、チェ・ムベといったファイターを出場させると豪語していたが、イワノフは8月2日の『戦極』への参戦が決定。期待していたマーク・ハントは『DREAM.9』のスーパーハルクトーナメント一回戦でゲガール・ムサシにいいところなく敗退してしまった。
マーク・ハントのギャラは決して安くないので、まさかFMCが本気で呼ぶとは思っていなかったが、韓国の複数の格闘技会関係者からの情報によると、FMC関係者はハントが出場する5.26『DREAM.9』横浜アリーナ大会のために来日して会場入りしていたらしく、ハントの敗戦を見てかなり動揺していたという。ハントの敗戦、イワノフの8.2『戦極』参戦もあり、FMCの旗揚げを9月に大会を延期する可能性も出ている ようだ。
海外の報道では、9月29日にFMCでイワノフ vs アレキの試合を行なうという報道があるが、韓国ではこの件に関する報道は一切なし。7月4日には、アマチュア大会『DREAD』を開催するという情報もあったが、いまだ公式HPなども見つけられず。ただし、韓国の格闘技界のインサイダー情報によると、8.15の日韓対抗戦用に某選手の獲得に動いているという情報もあるので、まるっきり何もしていないというわけではなさそう。
ライバル団体の『武神』のスポークスマン、キム・ボムソク氏も「FMCにもうまくいってほしい。韓国格闘技界を盛り上げてほしいよ」と成功を願っていたが、はたしてどうなるのか……?
『武神』でもうひとつ話題になっていたカードがこれ。
■武神ルール3分3R
○ クォン・ミンソク[3R終了 判定3-0]クォン・アソル ×
HIROYAとの対戦経験があるクォン・ミンソクは、“オルチャン”(韓国語でイケメン)というニックネームが示すようにかわいらしい顔をしているが、韓国期待の本格派。いまでも鬼のように強い忠武ジム(韓国メジロジム)のチェ・ヨンジェ館長がビシビシ鍛えている。対するクォン・アソルは『戦極』や『HERO’S KOREA』などに参戦経験のあるMMAファイター。テクニカルではないが、圧力をかけて荒々しく前に出ていくストライカーだ。スピリットMCでは70級の主力ファイター。同じく『戦極』に参戦経験のあるイ・グァンヒのライバルだ。
韓国にクォンという姓は一つしかないので、必然的に両者は親戚同士なのだが、試合前から口が悪いことで有名なクォン・アソルは、徹底的にミンソクを挑発。過剰な発言はほとんどしないミンソクはこれに乗らず、マイペースに受け答えするなど、両者は好対照な性格。
また、両者はファイトスタイルもまったく正反対。テクニックに裏打ちされた華麗なキックボクシングを得意とするミンソクに対し、小細工は一切なしのパチバチファイトが信条のアソル。当然、試合ではアソルがペースを乱そうとして乱打戦に持ち込もうとするが、ミンソクは相手が前に出てくると横にいなしたり、ローで出足を止め、隙があればハイキックをブチ込むなど、多彩で高度な技術でアソルを翻弄。
中盤、アソルの金的がミンソクに入ったが、リプレイを見たアソルは「入ってないじゃないか」と激怒。しかし、これはカメラの角度が悪かっただけでリングサイドからは金的に入っているのがハッキリ見えた。荒削りなのはアソルのいいところだが、こうした些細なことで集中力を切らせると試合ではそれがマイナスに働く。試合全体を通してアソルはアグレッシブに闘い、できることはやったが、ミンソクは随所で効果的な打撃を上下に散らして打ち分け、ポイントを確実に奪っていった。
判定3-0という結果を疑問を持った人もいるかもしれないが、キックボクシングの試合としてはミンソクの完勝と言える内容だった。ハン・スーファン vs キム・セギの試合とは違い、アソルのMMA的な試合ペースに持ち込ませなかったミンソクの技術の高さが光った。アソルはこの試合の経験を活かしてMMAでもっと試合をしてほしい。
6.7『武神』で、気になった試合をいくつかピックアップ。
■武神ルール3分3R
○ ハン・スーファン[3R終了 判定2-0]キム・セギ ×
『K-1 MAX KOREA』で、ヴァージル・カラコダに勝利したことのあるキム・セギは朴訥とした雰囲気だが、コミカルなしゃべりや入場でもコスプレで登場するなど、茶目っ気のあるファイター。試合は乱打戦でもガッツを失わず、前に出まくるファイター。対するハン・スーファンはご存知、DEEPの前ライト級王者で中尾受太郎、三島☆ド根性ノ助、横田一則をKOしているという韓国の剛腕MMAファイター。
K-1、MMAと別ジャンルを主戦場とする両者だが、じつはクラブファイトの『Gimme5』で両者は対戦経験があり、このときはハン・スーファンがキム・セギから失神KOで勝利している。両者ともに、韓国でも屈指のハードパンチャーだけに、韓国の格闘技ファンからは大きく注目を浴びていた試合だった。
試合が始まると、カウンターパンチャーのハン・スーファンは隙を見てキム・セギに重いパンチを当て、コーナー際では怒涛のラッシュを繰り出すなど、試合の主導権を握る。逆にキム・セギはMMAファイター独特の間合いがやりにくそう。
だが、3Rになると若干疲れが出たスーファンに対し、キム・セギはローキックを主体にペースを取り戻し、果敢に前に出て攻勢に出る。だが勝負は判定決着へ。個人的には本戦ドロー、延長戦でもいいかな、という内容だったが、ジャッジは2-0でハン・スーファンを支持。キム・セギはこの試合の規定体重をクリアできなかったことで、減点が出されており、それが判定に響いたようだ。韓国でイム・チビン、イ・スファンに続く位置につけるキム・セギだが、MMAファイターに2連敗を喫した形となった。
試合後、ハン・スーファンは「魔裟斗でもイム・チビンでもOK」とコメントしたが、スーファンは『戦極』に参戦中。魔裟斗は論外だが、イム・チビンも『武神』のライバルプロモーションであるFEG KOREAの契約選手。現時点でこの試合が実現する可能性は限りなく低い。現実的な話をすると、ハン・スーファンは『戦極』でまだ一試合契約が残っているという。個人的には北岡悟とやる前に、同じストライカーである廣田瑞人とやってほしかった。横田目線で言えば、DEEPで一度負けているので横田 vs ハン・スーファンならやる意義はあるかもしれない。問題は、それは『戦極』でなくてもDEEPで観られそうだという点。
ちなみに、スーファンの所属するTEAM FORCEのトレーナーによると、スーファンは65キロにも落とせるようなので、将来的にはフェザー級に落としてきたらいまよりもっと恐ろしい存在になると思うのだが……。
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