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東海近辺のライフログ。
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lims.jpg『NEOFIGHT12』で最も迫力あるファイトはヘビー級のイム・ジュンス vs キム・ジフンの一戦。両者は一歩も引かない打撃戦を展開し、会場から大歓声を浴びた。

勝ったイム・ジュンスは、韓国プロレスの大スター(?)イ・ワンピョの下でプロレスラーとして活躍していたという韓国では珍しい経歴の持ち主。柔道の経験もあり、打撃も筋がいいため、韓国では早くからヘビー級の有望株として期待されていたが、『HERO’S KOREA』やMARS、DEEPといった国際戦の舞台では実力を発揮できず、最近は5連敗中だった。

ちなみに04年のスピリットMCでは無差別級トーナメント一回戦で、元真武館空手の奥田正勝と闘い、試合中に「足が痛いから」という理由でタイムストップを要求し、レフェリーもこれに応じるという珍事件を起こした張本人でもある(結果もイムの疑惑の判定勝ち)。また、昨年は『DEEP37』でハマーに足関節で逆転負けを喫している。

だが、『NEOFIGHT12』では鋭く重い打撃を繰り出し、コンビネーションにアッパーを組み入れ、KTTのブルファイター、キム・ジフンとの猛烈な打撃戦を制し、最後は豪快なヒザ蹴りで失神KO勝利を奪った。

7月16日には中国のART OF WAR(日本人との対戦が予定されているとか)に出場する予定というイム・ジュンス。今度は「海外では勝てない」というジンクスを打ち破ることができるか? 

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■イム・ジュンス/LIM JUN SOO
身長:186センチ
体重:115キロ
バックボーン:プロレス
MMA戦績:4勝6敗
主なタイトル:05年WXF世界選手権準優勝
 

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『NEOFIGHT12』で印象に残った選手をもう少し紹介。

seo23.jpgウェルター級(73キロ以下)ワンデイトーナメントで優勝したコリアン・トップチーム(以下KTT)のソ・ドゥウォン(28歳)は、ようやく本来の身体のサイズに合った階級に落としてきたからか、いい選手になっていた。

KTTではチームの副将を任されているソ・ドゥウォンは、早い段階からチームに所属している。それだけにファイトスタイルもレスリングをベースとして打撃で前に前に出るKTT的な色合いの強い選手。大流血となる裂傷を負っても、まったく闘志が衰えないばかりか、「絶対やれる! 止めないでくれ!」とドクターに食ってかかるほど、負けん気の強いファイターだ。

初めて仮の試合を観たのは、05年の『スピリットMC 7』かな。当時はまだ85キロぐらいの体格でヘビー級の相手をテイクダウンして圧倒していた。その後、ウェルター級まで落として闘っていたものの結果が出ていなかった。日本ではDEEPで長南亮や池本誠知と闘っているが、ともに1Rで敗退している。今回の適正体重と思われる73キロ級のトーナメントで初のタイトルを手にして、本人も手ごたえを感じたのではないだろうか。

動きにもキレがでて、鋭いローキックやヒザ蹴りがうまくなっているのが印象的だった。胸に豪快なタトゥーを入れてインパクトが増していたし、髪型が秋山成勲に似ていることから“リトル秋山”といった風貌になっていた。KTTのコーチの話では70キロでも闘えるということなので、今後はライト級での活躍が期待できそうだ。

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■ソ・ドゥウォン/SEO DOO WON
所属:コリアン・トップチーム
身長:170センチ
体重:73キロ
バックボーン:レスリング
MMA戦績:6勝6敗
主なタイトル:『ネオファイト12』ウェルター級ワンデイトーナメント王者

話はまたネオファイト。ひさしぶりの韓国大会ということもあり、現地取材を試みた。6.4『NEOFIGHT12』は関係者もいることだし、試合開始一時間前には会場に行こうと思って準備していた。開催場所については“ソウル市内のテクノマート”ということはわかっていたが、場所がうろ覚えだったので、韓国の格闘技関係者に電話で聞いた場所に行ってみると、どうやらまったく違う場所のテクノマートを教えられていたらしく、散々探した挙句、その会場からは一時間以上も離れた別のテクノマートで大会が開催されているということが判明。

ひさしぶりの渡韓だったが、なんという韓国ワールド。してやられてしまった感アリアリだが、ここは韓国。自分の目でしっかり場所を確認しなかった自分が悪い。そこから急遽、別会場に直行したものの、会場に到着したときには大会はかなり進んでおり、ちょうど第4試合の女子キックの試合が始まるところだった。

ガーーーン。取材のお目当てにしていた花澤大介13選手の試合(第2試合)は、すでに終わっていたのだった。韓国の記者にどんな試合だったか聞くと、「1Rはハナザワがテイクダウンをたくさん奪ったけど、2Rはちょっとバテたかな。打撃をもらって判定で負けちゃったよ」とのこと。判定は妥当だったのか不安になったので聞いてみると、「確かに微妙ではあったけど、大騒ぎするほどおかしいものではなかったよ」という答えだった。

だが、それはあくまでも韓国人の感じる判定についての感想だ。どこの国でも多かれ少なかれ、ホームタウンデシジョンというものはある。大会終了後、花澤選手とセコンドの方がいたので、話を聞いてみると、判定についてもそうだが、何よりもルールに面食らったようだ。そう、ネオファイトは異常に寝技のブレイクが早い団体で、かつては寝技30秒ルールを設けていた団体でもある。

IMG_7162.jpgaadad.jpgパスガードしてすぐにブレイクをかけられたものもあったという。花澤選手のセコンドはネット上で話題となった合気道の達人・柳龍拳と闘って勝利した岩倉豪さんだった。岩倉さんは寝技の攻防にまるで理解のないレフェリングとジャッジに対して「こんなの見たことないですよ」と憤慨していた。

上記の事情によって自分は試合が見られなかったので、韓国で6月20日に放送されるというネオファイトの中継を見るまでなんとも言えないが、事前にブレイクの早いルールに聞かされていたら、多少展開は変わっていたかもしれない。寝技の得意な花澤選手にとっては、残念な結果となったが、海外でのムチャな仕打ちというのは韓国に限らず、どこにでも起こりうること。これを糧に、プロ選手としてさらに成長していってほしいと思う。逆に、ネオファイトはいい加減、グラウンド攻防の流れを理解した合理的なレフェリングを心がけてほしい。

帰国後、花澤選手のセンコドの岩倉さんがこの試合のビデオの一部と観戦記を「EAST-END」というサイトに掲載している。そこでは花澤選手の試合の動画も見られるようになっている。花澤選手サイドは、今回対戦したKTTのソ・ドゥウォン選手とはパンクラスのリングで再戦を望んでいるという話もあるという。パンクラスとネオファイトはずっと交流関係にあり、タイミングさえ合えばリマッチも可能だろう。

IMG_6736.jpgちょっと話はさかのぼるが、6.4 ネオファイトでは格闘技界では珍しい3対3のチーム対抗戦が行なわれた。1Rごとに対戦相手が変わっていって判定も3Rトータルで行ない、チームの勝利を決めるというもの。ネオファイトはさらに、この中に打撃ルールもミックス(笑)。中には一本勝ちのラウンドや判定にもつれ込んだラウンドもあり、それを3Rトータルでジャッジするのはややこしいが、要は勝ち抜かない柔道の団体戦のようなものだ。

この対抗戦はチーム・マックス vs 藝人(イェイン)MMAというチーム同士の戦いだったが、印象に残ったのはボッコボコの殴り合いになった第2試合の立ち技打撃マッチ。韓国格闘技関係者が「これは相手をつかまないドン・フライ vs 高山善廣ですね」と言っていたが、試合する機会のなかった韓国人の心の叫びが聞こえてくるかのような気迫の入った試合で、会場も大盛り上がり。こういう後先考えない試合をする選手を第一試合でドンドン使えば、ほかの大会にもいい起爆剤となるだろう。

試合の機会が少ない韓国で、新人の選手に経験を積ませるのが目的というこのチーム対抗戦。どうせなら全員の体重を近くして勝ち抜き戦とかにしてもおもしろいかもね……って、それじゃあ、まるっきりリングスの国別対抗戦じゃん! ……そういえば、チーム対抗戦って11年前の1998年にリングスが盛大にやってたね。あれは早すぎた試みだったんだな。無差別の対抗戦で先鋒がスーパーヘビー級のタリエルとか、いま考えるとありえない光景が続出した大会だった(詳細は各自調査)。

リングス同様、寝技のブレイクが異常に速いネオファイトは、かつてブランドン・リー・ヒンクルも参戦しており、パンクラスの渡辺大介との対戦も実現させている。大会を開けば毎回レフェリング問題などでバッシングされるのに、しぶとく生き延びている不思議な団体である。

※※※おまけ※※※

IMG_6891.jpgijohiygu.jpgIMG_6892.jpgIMG_6987.jpg




 




 

少しし遅れて『UFC99』も観た。『WEC41』、STRIKEFORCEを立て続けに観たあとなので、なかなか興味深かった。WECに比べればやはりUFC中継の映像は安定感があるという感じ。まぁ、それがひとによってはマンネリに感じるかもしれないが。

vsadfsda.jpgUFC初のドイツ大会だったが、やはりアメリカの観客よりもグラウンドの展開への理解が低いような気がした。アメリカでの復帰戦なら宇野選手のカムバックも温かく拍手で迎えられたのかもしれないが、ドイツでは日米対決だからかあまり反応もなし。試合でもかなりブーイングが飛んでいた。アンダーカードでドイツの選手が2選手出ていたのだが、そのときの会場の雰囲気はどうだったのだろうか。

■ライト級5分3R
○ スペンサー・フィッシャー[3R終了 判定3-0]宇野薫 ×
「12年以上のプロMMA経験」「勝利で最も多いのはサブミッション」という以外に、「UNFLAPPABLE」(危機に直面しても動じない)と紹介された宇野薫。スペンサー・フィッシャーとの試合を主導していたのは、間違いなく宇野選手だった。キレのあるタックルを積極的に繰り出したし、スプロールされても状況に合わせて素早く反応していく様はさすがという感じ。相手のフィシャー陣営も1R終わりのインターバルに、「ブーイングは気にするな! パーフェクトな試合ができているぞ」と檄を飛ばしていたので、相手のタックルにどう対処するか、しっかり研究してきていたようだった。

だが、宇野選手はテイクダウンに手間取ってしまい、要所でフィッシャーの打撃をもらってしまう。3Rの残り一分で宇野選手がマウントを取ってパウンドで攻め立てたが、あの時間がもう少し長ければ勝敗はひっくり返ったかもしれない。マストでなければ1Rはドローだし、3Rは宇野選手だと思ったが、結果は3-0。決してダイナミックではなかったが、テクニカルでキワの攻防がギッシリ詰まった攻防だった。ドイツの観客がそれを理解するのに、何年ぐらいかかるのだろうか。

■ヘビー級5分3R
○ ミルコ・クロコップ[1R KO]ムスタファ・アルターク ×
ミルコの相手は格下の選手だったが、身体の張りや反応はよかったので、少なくとも一時の最悪なコンディションとは違って見えた。最後のKOの前にミルコのサミングが入っていたことが、リプレイで明らかになっていたが、あれは入っていなくても勝敗に大きな影響はなかったと思う。ただ、ミルコは1R最初の方から突っ込んでくる相手のおでこをずっとオープンハンドで制していたので、あの場面でなくてもサミングは起こりやすい状態だった。次はDREAMという話もあるが、

■195ポンド契約5分3R
○ リッチ・フランクリン[3R終了 判定3-0]ヴァンダレイ・シウバ ×
ヴァンダレイはまだ32歳だけど、かつてのギラギラとした剥き出しの獰猛さは影を潜め、いまではちょっとアスリートっぽくなった感じ。試合中に足を滑らせる場面が多く、ダメージの蓄積を感じさせるが、それでも多少沈滞気味だった『UFC99』の会場を熱狂させるあたりはさすがのメインイベンター。
いまも昔も変わらないヴァンダレイの遮二無二に剛腕フックを連打するスタイルは、研究されまくっていて、フランクリンには距離を取られてストレート系で先手を打たれていたけど、自分の持ち味を充分に出し切ったと思う。初のドイツ大会を大団円で終わらせたのは、結局ヴァンダレイだったし、勝ったフランクリンよりもずっと輝いて見えた。今後は試合間隔をあけながら、ミドルで意味のある相手とやっていってほしい。

※※※

全体的にUFCはWECに比べてやはり大味に感じた。言いかえればそれはダイナミックで迫力がある、ということなのだが、明らかにテクニカルな宇野 vs フィッシャーの試合は浮いていたし、会場の観客のニーズにはあっていないように見えた。WECにもライト級はあるわけで、現在はこの階級だけ二部リーグ制になっている。そうしている意味もよくわからないし、ヴァーサスTVとスパイクTVで放送局の違うWECとUFCだが、ブランドの格差をどうすべきかの議論は行なわれているとも聞く。どうせなら、UFCはウェルター級以上にして、WECにBJペンを登場させてWECのPPVに踏み切るとか、WECにも“UFC提供試合”として派手な重量級の試合を1つ、2つ組むとか、そんな工夫があってもおもしろいのでは。
 

STRIKEFORCEがエリートXCの所有する資産を買収して、大きく変わった点と言えば、やはり映像のクオリティ。前回ショータイムで放送された新生STRIKEFORCEは、荘厳な記者会見の映像からしてメチャクチャ格好よくて、痺れたものだった。STRIKEFORCE中継の中で、“NEW ERA”(新世紀)をキーワードにしていたが、いつでも同じつくりのUFC中継には少し飽きがきていたので、すんなり心に響くものだった。

sada.jpg今回は、前回の新生STRIKEFORCE中継の時に比べれば、それほど驚かされる映像ではなかったが、それでも荘厳な音楽とともにスローモーションを中心にした映像とインタビューカットが交互に映し出される作りは、UFCとは違う個性となっていた。解説は前回メインを飾ったフランク・シャムロック。ケニー・フロリアンに劣らず、こちらもとにかくよく舌が回る。

以下、試合の感想。

■ライトヘビー級5分3R
○ マイク・ホワイトヘッド[3R終了 判定3-0]ケビン・ランデルマン ×
試合前に実況が「この試合は早く終わるでしょう」と言ったように、テレビ中継の第一試合を飾るべく、ダイナミックな試合が期待されたカードだったが、内容はちょっと期待外れ。とくに、ランデルマンが非常に消極的だった。とにかく前に出ないし、スタンドでパンチをまったく出さない。2R終了までで10発もパンチを出さなかったのではないか。3Rに唐突にメガトンパンチを放ってホワイトヘッドをダウンさせ、得意のパウンド連打で追い詰めたが、余力のあるホワイトヘッドに凌がれて判定負け。

■ウェルター級5分3R
○ ジョー・リグス[3R終了 判定3-0]フィル・バローニ ×
ランデルマンに続き、“筋肉三兄弟”の三男坊、フィル・バローニが登場。だが、ウェルター級(77.1キロ)まで絞ったにもかかわらず、バローニの動きにキレはなく、リグスの打撃をしこたま食らって判定負け。いまさらだが、やはりハンマーハウス勢の闘い方はかなり前時代的すぎる。ファイターとしての自分の個性やファイトスタイルはなかなか変えられないだろうが、何か変革を図らないと、このまま埋没してしまうだろう。

■180ポンド契約5分3R
○ ニック・ディアズ[3R チョーク]スコット・スミス×
81.6キロ契約で行なわれた試合だが、体重を上げたにもかかわらず、ニック・ディアズの強さはハンパなかった。スコット・スミスは、前回のベンジー・ラダック戦での大逆転勝利が記憶に新しいタフなファイターだが、10センチもリーチで勝るディアズにものすごい数のパンチを被弾。とくにボディへのパンチを効かされてダウン。最後はチョークで極められてしまった。それにしても、“兄貴”ディアズのパンチの当て勘は素晴らしい。ラダックの強烈な打撃でも音を上げなかったスミスをかつての五味のように、徐々に削って最後は心ごと折ってしまった。これでまだ25歳なのだから、ディアズは本当に侮れない。ナチュラルヒールのキャラもあって、STRIKEFORCEには欠かせない存在となりそう。次はMMA復帰を明言しているKJヌーンズとの再戦が観たい。

■ヘビー級5分3R
○ プレット・ロジャース[1R KO]アンドレ・アルロフスキー ×
アッという間の秒殺劇。ここの最近の試合を観ていても、ブレット・ロジャースの潜在能力は高いと思っていたが、この結果には驚いた。ワンパンチで試合が決まってしまうのが、ヘビー級の試合だが、アルロフスキーはちょっとロジャースを甘く見ていたのではないか。様子を見ようとしている間にやられてしまった。でかくても動けるロジャースはハングリーで危険な存在。次はアリスターとの試合が観てみたい。

■182ポンド契約5分3R
○ ジェイク・シールズ[1R ギロチン]ロビー・ローラー ×
この試合も82.6キロ契約。エリートXCのミドル級とウェルター級王者対決。最初はテイクダウン狙いのシールズのタックルをうまく切っていたローラーだが、シールズはスタンドでミドルを打ちながら距離を測り、組みついて金網際でギロチンへ。ローラーは一度持ち上げたものの、すぐにタップ。シールズは日本で修斗、パンクラス、GCMなどで闘っていたときは判定決着が多いという印象だったが、最近では8連続一本&KO勝利を収めており、まさに全盛期。ぜひともUFCの“神の階級”でその実力を証明してほしいが、政治的に難しいだろう。ディアズはシーザーグレイシーの同門だし、闘う相手を見つけるのが難しそう。DREAMのウェルター級GPの王者と闘うのならおもしろいかもしれない。

STRIKEFORCEの中継では『アフリクション』のヒョードル vs ジョシュ戦をかなり煽っていたので、両団体は交流を深めていきそうな雰囲気。格闘技界的には『アフリクション』が第3回大会で終わって、STRIKEFORCEに吸収されたりすると、UFCに対する巨大な対抗馬ができておもしろいのだが……はたしてどうなるか。

テレビマッチの最初にハンマーハウス勢がミソをつけたものの、その後の3試合はいい内容だった。個人的MVPはニック・ディアズ。
 

少し遅れたが、WECとSTRIKEFORCEのテレビ放送分を観ることができた。
簡単な感想を記しておきたいと思う。

adsfdfsa.jpgまず、『WEC41』。ヴァーサスTVで制作・放送されているWECの映像は、基本的にはUFCとさほど手法や方法論は変わらないが、中継のモチーフとなっているのはトライバルなタトゥーとメタリックな音楽。個人的にはUFCよりも好き。今回は大会場に多くの人が詰めかけている様子が映し出されていて、スケール感も増していてスポーツ中継としての醍醐味も向上しているように見えた。解説に登場したケニー・フロリアンも単にダナ・ホワイトに気に入られているだけでなく、饒舌な解説は安定感バッチリ。

試合のクオリティという点でも、WECの中継はUFCと比べるとその平均点は高い。UFCにはGSPやLYOTO、アンデウソン、BJペン、ブロックレスナーといった各階級のモンスター級のチャンピオンは、どの試合でもダイナミックでハイレベルな試合を見せてくれるが、UFCのテレビマッチでは時折、迫力重視のメガトンマッチが唐突に組まれているが、正直言って大男のドつき合いは観ていて楽しくはあるが、格闘技マニアにとっては大味でレベルの低い試合であるとも感じられる。

だが、WECにはそういう試合のクオリティのバラつきが少ない。階級が軽いだけに、総じて全選手の細かなテクニックの濃縮具合が違うのだ。しかも、WECにもミゲール・トーレスや、マイク・ブラウンといった常人離れした王者も生まれ始めているので、そういった点でもWECの中継はもっと日本の格闘技ファンに観てもらいたい番組である。

■フェザー級5分3R
○ ジョン・グリスピ[1R ギロチンチョーク]ジェンズ・パルヴァー ×
北米MMAシーンにおいて、技と技のキワで非常に重要な技となっているギロチンチョークが見事に極まった試合。テイクダウンに行ったのはパルヴァーだったが、僕にはパルヴァーがそうした流れについていけていないように思えた。UFC/WECを支えてきたベテランのパルヴァーはWECの会場でも大きな声援を浴びていたが、そんなパルヴァーを取り残し、良さをまったく消してしまうほど、現在のMMAの流れは速い。

■ライト級5分3R
○ ドナルド・セローニ[1R チョーク]ジェームス・クラウス ×
WECデビューのクラウスを百戦錬磨のセローニが一蹴。セローニの格が違いを見せつけて圧勝。キックボクシングで29戦28勝無敗のレコードを持ちつつ、MMAでの極め技はすべてサブミッションというセローニは、GSP、ラシャド・エヴァンスを育てた名トレーナーのグレッグ・ジャクソンのチームの一員。グラウンドのタイプ的には青木真也選手と近いものがあるが、グラウンドでは下から多彩なラバーガード、三角、オモプラッタ、腕十字、ペダラーダを繰り出すなど、じつに多種多彩。『WEC43』(日時未定)ですでに決定しているジェイミー・ヴァーナーとのリマッチが非常に楽しみ。日本のDREAMや『戦極』のライト級トップファイターとの試合が見たくなる好選手。

■バンタム級5分3R
○ アントニオ・バンヌエロス[3R終了 判定2-1]スコット・ジョーゲンセン ×
じつに不可解な判定。3Rを通してずっとジョーゲンセンがプレッシャーを与え、試合を支配していたと思うのだが……。WEC/UFCにも理解不能な判定はある。判定を発表したあとの観客は大ブーイング。だが、その部分はテレビ中継で即カット。バンタム級でこれほど獰猛な打撃を繰り出せるジョーゲンセンは逸材だと思う。

■フェザー級5分3R
○ ホゼ・アルド[1R KO]カブ・スワンソン ×
跳びヒザ蹴りでわずか8秒のKO勝利劇。ホゼの強さ爆発。コイツは本物だ。同門のマルロン・サンドロといい、ノヴァ・ウニオンのフェザー級の選手の充実ぶりは凄い。WECで鉄壁の強さを見せるマイク・ブラウンとどんな試合をするか早く観てみたい。

■バンタム級5分3R
○ セス・ディークン[1R 三角絞め]ロナルド・ペレス ×
誰だ? アメリカのMMAはキックボクシング化していてサブミッションでの決着が少ないって? この試合ではディークンが芸術的な跳びつき三角絞めを試み、徐々にペレスを締め上げて勝利。こういうアグレッシブな選手は主催者にとってもありがたい存在だろう。

■ライト級5分3R
○ アンソニー・ペティス[1R ギロチン]マイク・キャンペル ×
ペティスはテイクダウンされ際のギロチンを披露し、テイクダウンされても下から足を効かせたガードワークから一気に三角絞めを極めるなど、なかなかのテクニシャン。今後が楽しみな選手だ。

■フェザー級タイトルマッチ5分5R
○ マイク・ブラン[5R終了 判定3-0]ユライヤ・フェイバー ×
ブラウンが終始、安定した強さを発揮してタイトルを防衛。ブラウンの安定感とタフさはちょっと異常。グラウンドで必ず首から、というかギロチンを極めに行くのが印象的だった。たぶん、トライして失敗しても悪いポジションにはならないという自信のある攻め方なんだろう。フェイバーは早くから拳を痛めたとのことだが、それがなくてもやはり負けていたと思う。前回のブラウンとの試合は、フェイバーがバタバタとして、自分で金網のリバウンドをつけてブラウンのパンチに飛び込んでいった“一人カウンター”状態だったが、今回は地力の差がはっきり現われてしまった。

極端な半身からアンオーソドックスなフェイバーの打撃はブラウンに完全に読まれていたし、ブラウンはパンチに対する距離の取り方も優れていた。グラウンドではフェイバーが有利になる場面はほとんどなく、内容的にはブラウンの圧勝。ブラウンはまったくと言っていいほどキックを出さないタイプだが、それが逆に闘い方に安定感を生んでいるのかもしれない。とにかく堅実で穴のない王者だ。期待されるホゼ・アルドとの試合でアルドがどれだけその牙城を崩せるのか、非常に楽しみだ。

KIDはブランク明けの試合だったが、それほど状態が悪かったようには見えなかったし、フェイバーも衰えたわけではない。新世代のMMAファイターの技術レベルがドンドン上がっているということだろう。

STRIKEFORCEについてはまたのちほど。
 

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