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東海近辺のライフログ。
続いて『闇の列車、光の旅』アメリカ・メキシコ映画


この映画、イラン映画と同じ日に見たんだけど、日本人の想像をはるかに超える中南米のド底辺ぶりが描かれていてインパクト絶大。

同日に観たイラン映画『ペルシャ猫を誰も知らない』も無情で唐突な死を静的に描いていたけど、こっちは暴力と混沌が満ちあふれたスラムのドギツい現実をもっと直接的に表現している。

組織的なギャングに入会することでしか、生活の安定を得られないメキシコのキッズのブッ飛んだ現実が新鮮すぎるというか、本当にちょっとしたことで人が死んだり殺されたりするし、その死が大きく扱われることもない。日本とはあまりにもかけ離れ過ぎていて「いったいどこの世界の話?」とポカーンとする。

面白いのは、そういうカオスでノーモラルな状況の中でも、ギャングたちは自分たちなりの精神的、現実的モラルで組織を統制しているという点。タトゥー、入会の儀式、組織の掟などに表れている。人間はどんなにモラルが低下したとしても、共同体を作って互いが生き残るために相互扶助し、家族のような結束を強めるために掟や禁忌を生みだしたりする。

ただ、その国の中で幸福になる道が閉ざされているように見えるのが、絶望的すぎるというか。中南米の中でも、柔術やサッカーに没頭してスラムを脱出する道があるブラジルなんかは、まだマシなのかも。ホンジュラスかメキシコだったら、もう亡命するしかないような気がする。昔がどうか知らんけど、いまはメキシコでルチャドールになって、まっとうに小金を稼ぐ生活なんてできないのかもしれないね。

つーか、主人公がニック・ディアスとギルバート・メレンデスに似てるもんだから親近感がわいたわ。

助かりそうで、ほとんどの人が助からない。より危険な道を選んだのに、その人だけが生き残る“運次第”の状況が描かれているからこそ、観ている人は自然と「この命を大事に使わなきゃ」と思えてくる映画。

救いのなさを描ききることで、“偶然”救われた人、あるいは“偶然”別の国に生まれて命の危機が周囲にない人にも、命の重さを問いただす作品として、少なくとも自分には強いメッセージを感じさせた作品だった。
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